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チョコレートのれきし
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ぼくのなかの、カソリックな部分と
プリミティブな部分が
とけあって
まざろうとしている
からだからながれるこのえきたいが
そうよばれるのではなく
憎しみとやさしさが
まざりあって
僕が
チョコレートになるのだ
両腕はあさぐろくなり
つけたした部分の
色がまざりあっていく
悲しみと喜びが
まざりあっていく
邪悪とせいぎが
溶けあっていく

声はいう

「スペインの社会政策は
スペイン人
インディオ
アフリカ人どれい
それぞれが
同一集団内でめいめいべつに
交配することを理想としていた

そのためアメリカには
政治・経済権力を担う少数の
スペイン系白人と
その下に位置する 大規模な
原住民階層
そして社会の最下層たる広範な
奴隷集団という
三つの集団を基礎とする
階層化社会が生まれるはずであった

確かに奴隷に限ってみるなら
素性もしれず邪教の罪を背負った
軽蔑すべき最下層の人間
として扱われたが

全体としてスペインの理想を実現することは不可能であった

三つの人種集団は上位、下位と大量にまざりあい
スペイン人が
”カスタ”
と名づけた数々の新たな人種がたんじょうした。」*1

声はまだつづく


一般に、スペイン人男性の相手
---婚姻、婚姻外を問わず----
はインディオとアフリカ人女性であり
17世紀にはインディオ系、アフリカ系、スペイン系のメスティーソ(混血)
18世紀にはほぼ例外なくヨーロッパ系メスティーソ
すなわち白人の血が濃いクリオージョとメスティーソ女性
が一般的であった。


そこに
おたがいを尊重することがなかったと
なぜ君はいえるだろう
子どもをつくるふたつのあいだに
人種の垣根をこえたものが
まったくないなどと
だれが思うだろう
あるいはぎゃくに
妻は夫を、夫は妻を
虐げることは
ほんとうにないのか?


スペイン人とアフリカ人のカスタをムラート(ブランコ)
ムラート(男)とスペイン人(女)との貸す田をムラートモリスコ(ブランカーン)
アフリカ人男性とインディオとのカスタはパルド(サンボ)
コチョ、カニブーホ、チノ、ホローチョ、ロロ
パルドとインディオとのカスタをムラートロボ(アロバート)
カバレー、カフーゾ、カリボーカ、クリボーカ、カブラ
アフリカ人男性とパルド女性のカスタをムラート、プリエト
そして、スペイン人とインディオのカスタをメスティーソ(クリオージョ)
カスタはまざりあい、どんどんバリエーションをふやしていく


ぼくのからだは腫れあがり
小人たちはよこたわったぼくのからだに
バナナの皮をかぶせていく

インディアスは言う
「君の体は、これからどんどん腐って行く
ボードレールの時代に腐敗は悪徳となったが
それは
フランスの保守的なカソリックの美の
うらがえしである」

ぼくは答える
「サントブーヴは言う
詩の領域では一切のものが題材になる。
ラマルチーヌは大空をとりあげた
ヴィクトルユゴーは大地と大地以上のものを取り上げた
炉端や、田園生活をとりあげた人たちもいる
テオフィールゴーチエはスペインとその豊かな色彩をとりあげた
その後になにがのこっていたか
それこそボードレールのとりあげたものであって
彼はいわばそれを強制されたのである」*2

インディアスは答える
「フランスの領土に、未開の地などない
見方をかえただけの、カソリックの美の追求だ

ククルカンははじめ、われわれに
知恵の実をくれた
その対価はけっしてやすいもんではない
民族はほぼ全滅し
そのかわり新しい民であるアフリカ人が
この地で虐げられた
その数は一億にもなるという
これを
カソリックの
腐敗と呼ばれても
いたしかたがない

しかし
我々はあたまをひくくしよう
パパカサスがおしえてくれたように
こうべをたれて その残虐さとわれわれの
くるわんばかりの憎しみもうけいれよう
君もその君のからだに起こる変化を
腐敗とはよばずに
熟成(発酵)といえ」

ぼくはめをとじた

「発酵には二つのステップがあり
最初はまず空気のないところで起きる
砂糖が酒(エタノール)に変わる生成変化だ
キリストが水をワインにかえたように
カカオ糖はカカオ酒になる
厳格な戒律と権威の下で
君は成功の誉れに酔いしれる」

ぼくのからだはやおら熱を帯び
完璧なルールの下で頬があからんで
うっとりする
ぼくのからだはとけはじめ
ゼリー状のものになる(ドレーニング=ペクチンの分解)

「次のステップは、空気が入りこむところで
起こる、これは端的にいえば
酸化だ
酸化がはじまれば、活動はよけいにせわしなくなり
たいおんはじょうしょうし
やがてすべては
熱死する

このステップにより、純粋なものだけが残る
液化したおまえのからだは
ほとんどが水とガスだ
カルヴァンが成したような
徹底的的な規則の上で
君の熱は頂点に達し
その熱が水を蒸発させ
熟成から七日目
個体としての君はしぬ」

カルヴァンはいう
「そして死体にのこるのは、予定通り
やわらかさ(アミノ酸)、あまさ(還元糖)、そしてなめらかなにがさ(ポリフェノール)
である
君の体の大半を占めるものはバターだ
たべものとしての君のなめらかさを決めるのも
このバターなのだ

人間のバターは
血と成分の似通った
乳から
油分だけをとったものだ

そのようにして得た血のあぶらは
溶けやすい
なぜなら 構造が純粋さをこえ
単純となるからだ」

純粋さをこえた単純さ
カルヴァンが求めたもの
ひとびとがアリのようにはたらき
アリのようにものをため
アリのように考えること
カルヴァンが求めたもの

アリがアリであるために必要なこと

ヒトが教会を通じて神の国に入ることとは
当時むじゅんしていた
アリはアリなりの
シンプルな構造を持ち
教会(カソリック)にもんくを言う
その虐げられたアリたちのことを
カソリックは
プロテスタント(文句を言う者)
と呼んで
きらった

しかし、カソリックを酵母として
プロテスタントははえやあぶのように蔓延し
個性のめざめがおこる

つづく
*1「ラテンアメリカと奴隷制」Rメジャフ
*2「パリの憂鬱」河盛好蔵
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